ぬいぐるみ物語「僕の人生が始まった日」

      2017/10/20

ゴトゴトゴト………

ゴトゴトゴト………

ゴトゴトと音がする。

僕は目が覚めて、はっと周りを見渡す。

小さい部屋の中に閉じ込められているようで

左も右も、上も下も近くに壁がある。

ゴトゴトと部屋が動く。

どうやら僕は箱の中に入れられて

運ばれているようだ。

ここはどこで、一体どこまで僕は連れていかれるのだろうと思う。

僕の周りには、僕と同じような顔をしたぬいぐるみが

いっぱいいる。

みんな何にも考えていないように

一点だけ見てぼーっとしている。

ふと光が差し込んできた。

大人の女の人が見える。

その人がぼくたちを一匹ずつ取り出して

棚に並べる。

ぼくは前から3列目の中央に並べられた。

と思ったら急に音楽が流れだして、

ぞろぞろとが人現れる。

たまに、ぼくらの目の前に現れては

ぼくらを手にとり、じっと見られる。

そっと元の場所に戻す人もいれば

どこかへ連れていく人もいる。

だんだんと僕の周りの子たちもいなくなった。

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そしてぼくが1列目に並ぶ。

はっと上を見上げると、小さな女の子が僕の前に立っていた。

うさぎのぬいぐるみを抱えながら、僕のほうをじっと見ている。

持っているうさぎのぬいぐるみと僕を見比べては

うーんと考える。

ぼくはこぶたなんだけど、耳が少し大きいから

うさぎと間違えているらしい。

何かを決めたように、うんと頷いたと思ったら

そそくさとどこかへ行った。

何だったんだろうと思っていると、

またそそくさと戻ってきた。

今度はうさぎのぬいぐるみを持ってはいなかった。

さっと僕を取り出し

「これがいい」

とお母さんに手渡される。

「これからよろしくね!」

そう、みくちゃんが僕に言う。

その目はきらきらと輝いていて

お母さんに抱えられた僕を嬉しそうにじーっとじーっと

ずっと見ているんだ。

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終わり

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