ぬいぐるみ物語「ぼくが忘れられた日」

      2017/10/20

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ぼくがみくちゃんに忘れられた日

1回目は友達の家で

2回目は家の外のお庭で

1回目のときは、友達のぬいぐるみが周りにいたから

悲しいとか辛いとか全然思わなかった

いなくなったぼくを見つけたときの

みくちゃんはすごく嬉しそうな顔をしていたけど

ぼくは久々にみくちゃんから離れることができたし

それなりに楽しい時間を過ごしていた

2回目のときがやってきた

家の外に置き去りにされたまま2週間ほど忘れられた

風がびゅーびゅー吹き、雨が降った日もあった

みくちゃんとお母さんの話し声は聞こえるんだけど

ぼくの声はみくちゃんに届かない

「ここにいるよ!ここにいるよ!」

何回もつぶやいたけど、声は届かなかった

みくちゃんには、ぼくがこの家に来る前に

大切にしていたぬいぐるみがいる

うさぎのピピちゃんっていうらしい

ぼくが来るずいぶん前のことだから

みくちゃんでさえもあまり覚えていないし

ぼくも知らない

ただ、お母さんが言うには、そのピピちゃんを

いつも肌身離さず持っていたんだって

でもみくちゃんはそのピピちゃんをなくしてしまったんだ

みくちゃんがピピちゃんをなくした日、

みくちゃんはぴぴちゃんを連れて、保育園の遠足に行った

途中まではピピちゃんと遠足を楽しんでいたのだけど

どこからか、みくちゃんはピピちゃんのことを忘れた

気づいたときには、ピピちゃんはもういなくて

帰る前に何度もピピちゃんを探したんだけど見つけることができなかった

みくちゃんは、どこかに置いていってしまったピピちゃんを思って

何度も泣いたらしい

わんわん泣いては、ぴぴちゃんのことを思い出して

お母さんに「ピピを探しに行く」と駄々をこねる

でも、

時間の経過は恐ろしいもので、だんだんみくちゃんはぴぴちゃん

のことを忘れていった

みくちゃんは「ぴぴ、ぴぴ」と駄々をこねることもなくなった

そんな話がふとぼくの頭をよぎった

そうか

ぼくも見つけられることもなく

忘れられていくのかと思った

それが、ぬいぐるみの宿命であると頭でわかってはいても

ものすごく悲しくなった

何もない田舎町で、風と時間だけが流れる

流れていくものをただただ見ているのは

ものすごく孤独だった

もう少しで声が聞こえなくなるな。

そう思ったとき。

お母さんの声がした。

「みく!ぴっちょんいたよ!」って

みくちゃんは全速力でぼくのとこまで走ってきた

安心したからか、悲しかったからか

みくちゃんの顔は涙でぐしゃぐしゃだった

多分涙が流れてなくても、ひどい顔をしていたと思う

みくちゃんが庭でゴーゴーと泣く

そんなみくちゃんを見ていたら

忘れられていた時間が、ちょっとどうでもよく感じた

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終わり

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