お気に入りになった悲しいぬいぐるみ

      2017/10/20

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ここ最近になって、

ねねはみくちゃんのことを避けるようになった

みくちゃんがねねの近くに行こうとすると

ねねはなんとかみくちゃんに見つからないようにと

机の下に隠れたり、ムーの後ろに逃げ込んだりする

理由はねねがみくちゃんにとってのお気に入りだからだ

みくちゃんはお気に入りの子ができると

いつでもその子と一緒にいたがる

ねねはおばかな子だけど

一生懸命で優しいところが

愛くるしくてしょうがないんだ

だからみくちゃんはねね、ねねと言って

ねねのことをずっと触りたがる

ねねはそれが嫌なんだ

その気持ちはぼくもわかる

ぼくは一番はじめにこのお家にきて

ずっとみくちゃんに可愛がられてきた

ムーが来て、ショコラがきて、ミントがきて

それでもずっとみくちゃんは僕を一番に可愛がったんだ

ねねがきて初めて

僕以外の子を一番に構うようになった

少し寂しく感じなかったわけでもないけど

なんだか解放されたようでほっとした

ただねねのことを思うとせつなくなる

別にみくちゃんがぼくとねね以外のことを

嫌いとか差別しているとかそういうわけではないんだ

みくちゃんはみんなのことが大好きで

ムーもショコラもミントもみくちゃんにとっては宝物

でも、どうしても可愛がる順番というものができてしまうらしい

一番みくちゃんの近くに置かれるのは

お気に入りのぬいぐるみ

ずっと一緒にいるのも

お気に入りのぬいぐるみ

お気に入りじゃないぬいぐるみは

みくちゃんからどんどん遠くなる

ぼくとねねは

みくちゃんに近いとこにいるから

ムーとショコラとミントが

ぼくらにとって、なんだか遠く感じるようになる

そうすると、だんだんムーやショコラやミントの顔から

表情がなくなってきて、忘れられた置物のように見えてくる

「ムー、ムー」

「ぼくを置いてかないで」

弟たちがどこかに行ってしまうようで

ぼくはとても悲しくなったんだ

ねねは、もはやみくちゃんに

「やめろー!!やめろー!!」

「しゃわるなー!!!」

と暴れながら言う

ねねがうおーんうおーんと泣き始める

ぼくたちのことは気にしなくていいんだよ~~

と大人なムーとミントは言うんだけど

そうするとねねは余計に泣いてしまう

ショコラはそんなねねを見ながら

すごく辛そうな顔をして下をむいている

大丈夫だよー!どこにも行かないよー!

ねね、頑張れー!

ムーが付け加えて言う

わんわん泣いていたねねの泣き声が

グスグスとした泣き声に変わる

少したって、ねねも諦めたのか

泣き止んでみくちゃんの相手をする

そんな姿を見て

弟たちはほっとする

うんうんとぼくは頷く

ぼくもこっち側に立ち

大丈夫だよ、大丈夫だよと心の中でつぶやく

ただあの頃を思いだしてみると

ぼくもねねもただただ普通に

ムーとショコラとミントと過ごしていたいだけなんだよな

と思ったりする

おわり

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